会長挨拶

JAVH会長挨拶文

日本獣医ホメオパシー学会 JAVH(Japanese Association of Veterinary Homeopathy)は、2015年JPSH (日本ホメオパシー医学会)獣医師部会より独立しました。私は当時のJPSH獣医師部会長を経て、この度2020年会長として就任致しました。当会は、ホメオパシーを実践する医療従事者とも連携しながら、さらに動物に対するホメオパシー治療に関する知見を深め、獣医ホメオパシーの正しい知識の普及と発展に努める獣医師の学術団体です。伴侶動物(犬や猫をはじめとするペット)、大動物(牛豚家禽など)、動物園や水族館、そして野生動物やシェルターなどの保護施設などにおいても、animal welfare(動物福祉)にホメオパシーは貢献しています。また、世界的には伴侶動物だけでなく、特にオーガニック農場において、家畜の健康維持にホメオパシーは使用されています。
 ホメオパシーは約200年前に、ドイツの医師Sammuel Hahnemannが提唱したヨーロッパの伝統医療に端を発します。アジアの伝統医療である漢方薬の処方や鍼治療に用いられる経絡などと同様に、身体全体をひとまとまりとして治療する医療体系ではどのように作用し病的な状態が改善し癒えていくのか、未だその全てが科学的に解明されているとは言えません。しかし、表面に現れてくる症状からアプローチするホメオパシー治療は、時には原因を特定できないような疾患であっても、治療可能な場合もあり、また薬に対する副反応のために通常医療での治療が難しい場合、通常医療では改善が見られなかった場合にもホメオパシーが役立つことがあります。しかし、個々の状況に応じて、医学的な判断が必要であり、病気の治療にはホメオパシーの知識だけではなく、獣医療の知識や経験は欠かせません。そのようなことから、本学会は、ホメオパシーによる病気の治療は、簡単なセルフケアを除いては医療従事者(動物の治療は獣医師)のみに限定しています。これは、本学会が加入している国際獣医ホメオパシー学会 IAVH(International Association for Veterinary Homeopathy)の基本理念でもあります。
 ホメオパシーは、今ではヨーロッパだけでなく北米、南米、インドなど多くの国、地域で使われています。ホメオパシーの有効性に疑問を呈する人もありますが、その一方でホメオパシーの有効性を示す報告も多くあります。ホメオパシーがどのように作用するのか、またどれくらいの有効性があるのか、これについては後世の判断にゆだねたいと思いますが、だからこそ私たち獣医師は、ホメオパシーのみを用いるのではなく、動物の生命と健康を守るためのあらゆる対処方法を考えていかなければならないと考えます。
 私は、長年国際獣医ホメオパシー学会IAVHと連携をとり、現在はIAVH副会長も兼務しています。日本獣医ホメオパシー学会 JAVHは、海外のホメオパシー獣医師とも連携を取りながら、国際レベルの教育を継続し、日本における獣医ホメオパシーの発展に寄与していきたいと思っています。 これからも獣医師のみならず、獣医看護師、酪農家、飼育員、シェルター職員、ボランティアなど動物の健康維持に関わる職種の方々、飼い主の方々にもホメオパシーの情報提供をしていきたいと思います。

                  日本獣医ホメオパシー学会 JAVH会長
                     黒田美奈子

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