会長挨拶

JAVH会長挨拶文

大自然を前にすると、誰もが、その美しさや偉大さに圧倒されます。 そして、私たちも動物も草も木も鉱物も同じ大自然を作った調和した力から出来ていることを実感します。
それ故、大自然を作り出した力の中には、心身のバランスを取り、あらゆる治癒力に通じる源が満ちています。
一方で、現代社会という自然界とは一歩離れた枠組みの中で、現代の最先端の医学として主に体の機能の部分に集中した治療法を目覚しく発展させてきました。
心も、心臓も肝臓も眼も皮膚も、それぞれ別の部品として認識され、局所的に治療する傾向が出てきたのです。
さらに、医薬品の分野では、特定の化学物質だけが抽出され、自然界には存在しない状態で投与することによって、根本原因の治療よりも症状を効率よく抑えることが可能になりました。

その結果、多くの疾患の治療が可能になった反面、ある種の疾患治療に対しては、医薬品の副作用の問題や症状を抑圧することによる新たな病気の発現、また根本治療や予防に対する限界が見え始めました。
この現代医療の欠点を補うように大自然の治癒力を生かし、病気よりも患者自身を重視した治療法が、世界中に数多く存在しています。 ホメオパシーもその代表的なものの一つです。

ホメオパシーは、同じような症状を引き起こす自然界から得た物質を希釈振盪して、病気の患者さんたちに与え、自己治癒力を強力に刺激することによって心身の治癒を促進させる高度に体系化された方法です。
今から200年以上前にドイツ人医師サミュエル・ハーネマンによって確立され、多くの経験的実績が積み重なり、詳細に体系化されてきた医療として、とくに欧州では病気を治療する際の一般的な治療選択肢の一つとされています。

しかしながら、1970年代までは、非常に多くの症例に対して臨床的な実績がありながらも科学的な証拠が少ないとの理由により、ホメオパシー自体が否定的に受け取られてきた経緯があります。
1980年以降、科学的根拠に基づく医療(Evidence Based Medicine;EBM)として、医学雑誌Lancetに掲載されて以来、EBMに沿ったホメオパシーの論文が多数発表されるようになってきました。
一般の医学と同様の無作為対照試験による治療効果の判定に関する論文だけでも170以上報告されています。
また、メタ分析による論文もホメオパシーの臨床的有効性に肯定的なものとなっています。
そして、獣医療分野でも、その有効性が多数報告されるようになってきました。

さらに近年のEBM中心の医療の中において、患者の語りに基づいた医療(Narrative Based Medicine; NBM)を重要視する動きが起こりはじめています。

患畜 の状態を詳細に把握するために、一般の診察に加えて、飼い主との対話を重要視して、患畜の病気や体質、飼育環境などを含めた全体像を見ていこうとする動きです。
これにより、自分で話をすることのできない動物たちの現状の病態のみならず、病気に至った原因や経過を理解した上で、動物の生体全体の自己治癒力の 強力に刺激し促進を させることがホメオパシーの目的となります。

現代医療の優れた長所と伝統医療や新しいホリスティックな考えに基づくホメオパシーの優れた長所を統合することにより、よりよい動物中心の医療が実現可能となります。
この世界的な大きな流れは、今後の 人も動物も医療の主流になってくることは確実です。

ホメオパシーを一般治療の選択肢のひとつとして取り入れることによって、治療の選択の幅が広がり、動物たちのよりよい病気の回復と健康維持に非常に役立ちます。

本学会(JAVH)は、獣医師の先生方によるホメオパシー医療の発展の場を提供すると同時に、多くの方々にホメオパシーの正しい知識を持っていただくことを目的として設立されました。
それは、動物たちのよりよい健康状態への明るい希望となることでしょう。

日本獣医ホメオパシー学会(JAVH)会長
森井啓二

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